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介護相談員とは?取得方法やメリット、仕事内容について

目次

介護相談員とはどんな資格 ?

厚生労働省では介護相談員について以下のように定義づけをしています。
介護相談員とは、市町村に登録された介護相談員 が介護サービス施設・事業所に出向いて、利用者の疑問や不満、不安を受け付け、介護サービス提供事業者及び行政との橋渡しをしながら、問題の改善や介護サービスの質の向上につなげる取組です

生活相談員との違い
介護相談員は利用中の利用者の要望を聞き、行政へ報告し、その内容と改善点を施設等に伝えるの橋渡し役ですが、生活相談員はデイサービス、ショートスティ、特別養護老人ホームなどを利用、入居する時の説明や契約、利用に関する計画書などの手続きや他の機関との連絡・調整など多岐にわたる業務を行います介護老人保健施設では支援相談員という名称になりますが業務内容はほぼ同じです。

図:厚生労働省 介護相談員派遣事業について

介護サービス相談員とは?

40時間以上の介護サービス相談員養成研修を修了し、各市区町村長の任命(委嘱)を受けた人を介護サービス相談員と言います。主な派遣先は介護保険法の施設・事業所及び特定施設外「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅」にて相談受付を行います。

介護サービス相談員補とは?

12時間以上の介護サービス相談員補養成研修を修了し、各市区町村長の任命(委嘱)を受けた人を介護サービス相談員補と言います。 主な派遣先「介護保険法の施設・事業所」「有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」に介護サービス相談員と介護サービス相談員補の2名で訪問し相談受付を行います。
ただし、介護サービス相談員の確保が困難な市町村においては当分の間、介護サービス相談員補2人で訪問することとして差し支えない。となっています。

介護相談員になるには?

介護相談員になるには実務経験などの要件などはありません。介護相談員事業の実施に相応しい人格と熱意を有し、一定水準以上の研修を修了した者(市町村が委嘱)とされています。ではこの一定水準以上の研修とは?について解説いたします。

養成研修

養成研修では介護サービス相談員(介護相談員)になるための研修です。
※研修の申し込みについては個人や事業所からではなく、住所地の市町村から申し込みをすることになります。詳細については下記のURLにてご確認ください。
参考情報:介護サービス相談・地域づくり連絡会 https://kaigosodan.com/media/training/a356

研修の日程・会場・内容について
・研修期間は約20日間。今年の研修日程:令和 3 年 9 月 9 日(木)~令和 3 年 9 月 29 日(水)
・開催方法:指定された場所からオンラインによる研修
・研修内容 40 時間  座学・演習・実習による研修です。
研修費用について
・研修費用(1人あたり)
・相談員研修費 55,000円
・事務局研修費 33,000円 (介護サービス相談員は受講せず、事務局担当者のみ受講の場合)
・特例研修費 9,240円 (介護サービス相談員が受講し、事務局用テキスト等が必要な場合)
 主な講義内容
・介護サービス相談員派遣事業について
・利用者の権利擁護
・介護サービス相談員の意義と役割
・虐待の発見と兆候、身体拘束とケアのあり方
・認知症高齢者の理解など
養成研修にはもう一つの介護サービス相談員補になるための研修があります。
研修の日程・会場・内容について
・研修期間:約6日間。 今年の研修日程:令和 3 年 10 月 14 日(木)~令和 3 年 10 月 20 日(水)
・開催方法 指定された場所からオンラインによる研修
・研修内容:12 時間 座学による研修です
※介護サービス相談員の養成研修との違いは研修期間、研修内容、費用です。
研修費用について
・研修費用(1人あたり)
※相談員研修費 33,000円
※事務局研修費 23,100円 (介護サービス相談員は受講せず、事務局担当者のみ受講の場合)
※特例研修費 7,370円 (介護サービス相談員が受講し、事務局用テキスト等が必要な場合)
主な講義の内容
・介護サービス相談員の意義と役割
・介護相談員派遣等事業の目的・介護相談員の役割、施設サービスの理解
・介護保険施設の比較、老人福祉施設の種類と性格
・高齢者虐待防止法
・高齢者虐待の定義
認知症の正しい理解など介護保険についての基本的な理解について行います。

現況研修Ⅰ

現況研修Ⅰの対象者は 平成 12 年度~令和 2 年度に介護サービス相談員養成研修を修了し、現在活動中の介護サービス相談員になります。
研修の日程・会場・内容について
・研修日程:約6日間。今年の日程令和 3 年 11 月 5 日(金)~令和 3 年 11 月 11 日(木)
・開催方法:市町村事務局の定める場所※において、動画配信サイト接続によるオンライン研修
・研修内容:座学と演習による研修です。
研修費用について
・研修費用Ⅰ、Ⅱ共通(1人あたり)
※相談員研修費 30,800円
※事務局研修費 17,600円 (介護サービス相談員は受講せず、事務局担当者のみ受講の場合)
※特例研修費 4,400円 (介護サービス相談員が受講し、事務局用テキスト等が必要な場合)
主な講義内容
・介護保険最新情報
・介護サービス相談員の新たな展開
・不適切ケアを見る目を養う

現任研修Ⅱ

現任研修Ⅱの対象者は介護サービス相談員現任研修Ⅰ(全国研修)修了者で現在活動中の介護サービス相談員
研修の日程・会場・内容について
・研修日程:約6日間。今年の日程:令和 3 年 11 月 25 日(木)~令和 3 年 12 月 1 日(水)
・開催方法 市町村事務局の定める場所※において、動画配信サイト接続によるオンライン研修
.研修内容 座学と演習による研修です。
研修費用は現任研修Ⅰと同じです。
主な講義内容
・聴く力・話す力
・転倒予防のポイントを見る目を養う
・介護事故の特徴
・転倒を防ぐための環境整備
・転倒予防のポイント
・認知症の人の意思決定の支援とは等

事務局研修

研修の対象
事務局研修については都道府県の介護サービス相談員の養成事業担当者、市町村の介護サービス相談員派遣等事業の事務局の担当者になります。行政職員の研修です。
・開催日時:2021 年 8 月 31 日(火)14:00~16:30
・開催方法:オンライン(Zoom)開催
・研修費用(資料代):1 人当たり 2,200 円(2,000 円+消費税 200 円)
主な講義内容
・介護サービス相談員派遣等事業について
・高齢者虐待防止・身体拘束の廃止について
・コロナ禍における介護サービス相談活動の実践など

介護相談員の具体的な仕事内容とは?


介護相談員の主な仕事内容は以下のとおりです。
・訪問:介護保険サービス提供事業所(介護施設・事業所)を訪問します。
・話を聞く:サービス提供事業者へ月1回~2回訪問し、実際にご利用をしている利用者(入居者)やその家族から話を伺い、サービス提供側への要望や意見を聞く
・報告:利用者や家族からの要望や意見などをまとめて活動報告書を作成し派遣先の市区町村へ提出する。
・事業者へ報告・提案:活動報告書を基に要望や意見をサービス事業者へ側へ伝え、改善点などの提案を行う。
・利用者、家族への報告、確認:要望や意見について行政、サービス事業者へ伝えた経緯やその後改善が図られているのかを確認する。

 相談内容とは?

実際の相談について具体的な内容についてお伝えします。
相談対象者の情報:有料老人ホームの入居者の82歳の女性。認知症は無い、サービス利用期間は1年6か月。

・相談内容:食堂へ行き、一緒に座る皆さんとなかなかなじめない。こちらから声がかけられない。自分は田舎者だからと落ち込まれていた。「一ヶ月前に地方から来た。地元がいい。帰りたいと思う」との訴えがあった。

・相談員の対応:事業所の責任者と話し合う。利用者は誰にも相談できず、一人で悩んでいたので、ゆっくりと聞いて事業者に伝え利用者が楽しい毎日を過ごしてもらえるようにする。

・事業者の対応:利用者は我慢しておられ、話し合う機会はなかったので、いろいろ本音を聞いてもらって助かります。そんなに悩んでおられるとは気がつかなかったので、すぐに改善して、楽しいと思って頂けるようにします。

・事務局の対応:相談員と事業者の対応結果を見守る。

・改善状況:食堂で座る場所を誰とでも話される明るい人の近くに席を替えてもらった。土いじりが利用者さんの楽しみでもあったので、屋上で土いじりを楽しまれている。

介護相談員のメリットとは

・利用者から職員には話しづらい内容等を聞くことができる。
介護サービス相談員は職員でない立場から、利用者が職員には話しづらい内容等を収集できる。介護サービス相談員がくみとる利用者の声は、サービス計画等の作成などにおいて大変参考になっている。

・サービスの質の向上につながり、利用者に変化がみられる
会話のなかから、利用者が職員に言おうかどうしようかと迷っているような、ちょっとした痛みや、体調の気になることを聞きとってもらえる。利用者の不安が大きくなる前に対処でき、細かいケアができるようになった。などサービス事業者側が受け止めていない要望などを吸い上げることで利用者によってよりよいサービス提供につながる事です。

体力的な負担が少ない

直接介護の仕事に比べ、体力的な負担はかなり軽減されます。介護の仕事につきたいけど体力に自信のない方や介護の仕事に携わりたい方、また話を聞くことが好きな方にはオススメの職種になります。

介護サービス利用者のニーズがわかる

介護相談員のメリットの例にてあげましたが、サービス事業者の職員に日頃の介助などを受けて、言いたいことがあっても遠慮して言えない事が多い中、第三者的な存在である介護相談員へ要望や意見を言えることで利用者の潜在するニーズをとらえることが可能です。

介護相談員の現状について

令和2年度介護サービス相談員派遣等事業実態調査に基づく現状については下記のとおりです。
・実施市町村事務局数 = 333 (横浜市、広域・組合等は1と数える)
・実施市町村数 = 372 (広域・組合等の構成市町村数を含む)
・介護サービス相談員数 = 3518(令和3年7月12日現在)

介護相談員の活躍の場とは?

介護相談員派遣先のサービス区分と 受入割合について

サービス区分 受入割合(%
特別養護老人ホーム 77.2
老人保健施設 69.7
グループホーム 51.1
小規模多機能 31.8
ショートステイ 25.2
通所介護 17.7
有料老人ホーム 17.6
通所リハビリテーション 13.4

介護施設(特別養護老人ホームや老人保健施設)の割合が多くなっています。

介護相談員の役割

・介護サービスの質の向上
介護相談員の一番の役割は介護サービスの質の向上です。介護施設や事業所ごとに様々なニーズや問題点がありますが本来は保険者である市町村にて改善を図る事が前提ですが、直接市町村が介入することよりも介護相談員がまず利用者の話を聞き、その内容を市区町村、事業者へ伝え問題解決を図る事によりサービスの質の向上が図られて行きます。介護相談員はその重要な役割を果たす職種です。

介護相談員がやっていけない事

・守秘義務違反
介護サービスについては常に個人情報を取り扱います。介護相談員も同様に利用者や家族に話を聞きます。要望についても常に匿名にてサービス事業者へ伝えます。個人情報の守秘義務が課せられますので絶対に守秘義務違反はしてはいけない事です

介護相談員の情報について

介護相談員の詳細な情報については下記のURLにてご確認ください。

・介護相談員派遣等事業について:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000114158.html

介護サービス相談・地域づくり連絡会:https://kaigosodan.com/

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